草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。 取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。
「もっとも優しい言葉は その人の名を呼ぶことである」 今回は奈良県にある浄林寺さんに掲示された言葉を取り上げます。
『お寺の掲示板入門』にて江田さんは、私たちが「人の名を呼ぶこと」についていくつかの事例を挙げて説明しています。
私たちは新型コロナウィルスの影響で人と会えない状況が続き、「人の名を呼ぶ」機会が減ってしまった経験を多くの方がしていること。
人間は自分の名前を呼ばれると、呼んでくれた人に親近感を覚える習性があること。周囲の人々に応援してもらいたい場合、その人の名前を丁寧に呼んであげることが大切であること。
お正月の箱根駅伝では、テレビ局のアナウンサーは210人の出場選手を絶対に一度はフルネームで呼ぶことになっているそうで、それによって選手本人やテレビの前のご両親、おじいちゃんおばあちゃんまで嬉しくなるということ。
こうしたことから江田さんは、人の名前を呼んであげることを
「非常にシンプルですが、誰にでもできる優しさ」だと説明しています。
ここから江田さんは、お念仏の説明をすすめます。
浄土真宗でお称えする「南無阿弥陀仏」のお念仏は「阿弥陀さまの名前を呼ぶこと」であると同時に、「あなたを絶対に救う」という「阿弥陀さまからの喚び声」でもあるそうです。
つまり、お念仏を称えることは、自分の優しさの表現というよりも「阿弥陀さまからの喚び声を聞き、阿弥陀さまからの限りない優しさを感じること」と深く繋がっているのです。阿弥陀さまはたとえどんな時でも、私のことを常に心配して、温かく見守ってくださっています。
ですから、この世界で最も優しい言葉は「阿弥陀さまの名前を呼ぶこと」つまり、南無阿弥陀仏のお念仏だと言えるかもしれません。
江田さんはこのようにお念仏の優しさを説明し、なかなか人と会えない状況が発生したときこそ家の中で「南無阿弥陀仏」のお念仏をお称えすることをおすすめしてこの文章の結びとしています。
お念仏をお称えすることは、私自身が阿弥陀様の限りない優しさを感じていくこと。
しみじみと感じ入る次第です。
引用部、『お寺の掲示板入門(江田智昭/本願寺出版社)』P46~P47より
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