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お寺の掲示板(令和7年1月)

草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。



「望もうと望むまいと あなたは独りじゃない。」


今月の言葉は「輝け!お寺の掲示板大賞」の第七回(2024年)大賞受賞作品。

広島県の浄土真宗寺院で、「掲示板大賞」の常連でもある超覚寺さんによるものです。


この言葉には、このように講評を受けています。

<前略>社会の中の孤独・孤立問題が深刻化し、分断が強く叫ばれる現在の世の中だからこそ、「つながり(縁起)を離れて生きている人は存在しない」ということを想起させるメッセージに大賞を送りたいと思います。

『お寺の掲示板』の江田さんは、「選んだ孤独はよい孤独」というフランスの言い習わしを例に、自らで選んだ孤独がその人の人生を豊かにさせる側面に触れます。


そのうえで、詩人・谷川俊太郎さんが生前に「孤独は前提である」と捉え、示していたことを紹介し、人間にとって前提となる「孤独」とはどのように向き合えばいいのかを考えていきます。


江田さんは、能動的な孤独を選べる人がいる反面、孤独な状態に追い込まれる人がいること、「望まない孤独」は、精神や肉体に大きな悪影響を及ぼすことに目を向けます。

実際に、高齢化が進む先進各国の政府も孤独問題に積極的に取り組むようになってきていて、日本でも孤独・孤立対策が推進されています。


ここで江田さんは、仏教から見る「孤独」と「つながり」について例示します。

 孤独を望もうと望むまいと、私たちは「つながり」の中でしか存在することができません。人間は決して独りで生きていくことはできないからです。無数のつながりの中で、今私は生かされています。このつながりを、仏教では「縁起」といいます。

続いて、江田さんは「縁起」を表す有名なエピソードを引用します。少し長くなりますが、ゆっくりとお読みください。


ティク・ナット・ハンというベトナム人の僧侶が「この一枚の紙のなかに雲が浮かんで見えますか?」と質問したそうです。あなたはどのように答えますか。
 雲がなくては雨が降らず、雨がなくては樹木が育ちません。そして、樹木がなければ紙は作れません。雲→雨→樹木→紙。みなさんはこのつながりを瞬時に想像できましたか?
 この世界に存在するすべてのものは、このようなつながりの中にあります。ですから、自分自身は周りのものと、どのようなつながりがあり、果たして何が自分を形づくっているのかを、<中略>一度思い浮かべてみてください。
 両親・先祖・友人・空気・太陽・雲・雨・大地・樹木・動物……。きっと自分が無数のつながりの中に存在していることが分かるはずです。その中の何かが一つでも欠けていたら、この私という存在はなかったのかもしれません。

そして、私の存在のもととなる無数の「つながり」をもとに、江田さんは改めて「孤独」について言及します。

「孤独」を強く感じる一つの原因は、このようなつながりの想像力の欠如にあると思われます。もしあなたが孤独を感じたとしても、決して「独り」ではありません。「望もうと望むまいとあなたは独りじゃない。」のです。

仏教の根本となる「縁起」という考え方を知るとき、私たちは、自分が独りではないことを想像することができるようになります。


「縁起」を知った上で、それでも孤独を感じてしまうとき。「必ず救う」と誓いを立て、常に寄り添ってくださる阿弥陀様のありがたさがしみてくるように思います。


引用部、『「お寺の掲示板」の深〜いお言葉』(江田智昭/ダイヤモンドオンライン 2024年12月5日更新)より

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